海外で人気のYNSA(山元式新頭鍼療法)とは?

日本ではあまり知られていませんが、鍼治療のひとつの方法として「YNSA(山元式新頭鍼療法)」というものが存在します。

このYNSAとは、いったい何なのか、それをまずご説明しましょう。

山元敏勝氏が開発した「YNSA」とは

ynsa鍼治療イメージ

YNSAとは、医療法人「愛鍼会」の理事長である山元敏勝氏が、昭和43年ごろから研究・開発をおこない、昭和48年に確立させた「おもに頭皮への鍼うちをおこなう、新しい鍼治療」のことです。

ちなみに、なぜYNSAと言われているのかというと、これは(Yamamoto New Sculp Acupuncter)の略。「山元氏による、新しい、頭皮(sculp)の鍼(acupuncter)治療」という意味を持つ英語名で、海外で幅広く普及している療法です。

YNSAを確立させたのは日本人ですが、現状では海外人気のほうが圧倒的に高いため、この治療法の日本名「山元式新頭鍼療法」よりも、海外での呼び名である「YNSA」のほうが、有名になっています。

■ YNSAが生まれたきっかけ

日本でも古くから、一般的な鍼治療は行われてきましたが、そんな中でどうして、新しいタイプの鍼治療であるYNSAが生まれたのかというと、実は、YNSAは、「従来の鍼治療にアレンジを加える」という形で生み出されたものではありません。

生みの親である山本氏が、「麻酔科の医師」として活躍していた時に、YNSA誕生の大きなきっかけがあったのです。

山元氏が、宮崎県の日南市で、農業をしている人たちの体の痛みを緩和するために、神経ブロックなど、痛みに対応するための注射をあちこちにうつ、という日が続いていたのですが、そんな中で「注射をうったポイントとは、まったく違うところの痛みが取れる」というケースが出ていることに気付いたのです。

麻酔薬や鎮痛薬が効いていないはずの範囲の痛みが取れた、ということは、「今まで医師も知らなかった反射区が見つかった」ということでもありました。

そして山元氏は、「新たに見つかった反射区を、鍼治療に応用できるのではないか」と考え、当時の患者の協力を得ながら「このポイントを刺激すればここが良くなる」という独自のツボをいくつも見つけ出していったのです。

こうしてYNSAは、「実地での実践の繰り返し」によって、完成していきました。

これまでの鍼治療とはまるで違う視点から見つかったものだからこそ、YNSAは「まったく新しい鍼治療」である、と言える存在なのです。

参考:山元先生のお弟子さんでYNSAによる鍼治療を行っている小出先生のホームページです。医師によるYNSA療法の解説がなされております。
>> 医師によるYNSA鍼治療

YNSAと一般的な鍼治療の違い

YNSA(山元式新頭鍼療法)は、その名称に「新」という文字が入っていることからも分かるように、これまでの一般的な鍼治療とは異なる「新しい鍼治療」と言えます。

では具体的に、YNSAと一般的な鍼治療とでは、どのような違いがあるのでしょうか?

「ynsa鍼治療」のイメージ
ynsa鍼治療

■ 経絡・経穴を使う鍼治療ではない

「一般的な鍼治療」の人体図
「一般的な鍼治療」の人体図

YNSAと一般的な鍼治療の最大の違いとして挙げられるのが、「YNSAは、経絡(けいらく)や経穴(けいけつ)を使う鍼治療ではない」ということです。

一般的な鍼治療の場合、「目には見えない気の流れ」というものを重視し、その気が流れる通路と言える経絡や、気の停車駅と言える存在の経穴を刺激することも多いのですが、この経路や経穴というのは、あくまで「古代の中国医学から続く概念」という存在です。

経穴は「ツボのようなもの」という感じなので、ある程度ピンポイントへの刺激が可能となっていますが、経絡はそれに比べると、鍼師が長年の経験や感覚などによって、「このあたりに〇〇の経絡がある」と認識するようなものですから、ハッキリ言ってしまえば、あいまいな部分も多い、というのが現実なのです。

だからこそ、鍼師の腕・感覚の鋭さの差などによって、経路への鍼刺激の効果は大きな差が出てきてしまうことも多いのです。

これに対してYNSAは、そうしたあいまいさを無くすため、鍼をうつ場所をほとんどピンポイントに指定している、という独自の明確な治療ルールがあります。

そして、ルールの明確性があるからこそ、一般的な鍼治療に比べると「施術者による技術力の個人差」というものがほとんどないのです。

つまり「YNSAの施術をしてくれるところなら、どこを選んでもその施術の効果はほとんど変わらない」という、治療効果の均一化ができているというわけです。

しかもこの治療効果の均一化は、日本国内だけでなく世界中でなされていますから、「たとえ遠くに引っ越したとしても、その引っ越し先にまたYNSAの施術をしてくれるところが見つかれば、引っ越し前とほとんど変わらない品質の施術を受けることができる」というメリットが生まれるのです。

■ ツボの数がとても少ない

YNSAと一般的な鍼治療の大きな違いとしては「刺激するツボの数が、YNSAのほうがはるかに少ない」というのが挙げられます。

一般的な鍼治療で刺激されるツボ(古代中国医学における経穴)はなんと361個にもおよびますが、数が多いからこそ、「すべてのツボについて熟知している鍼師」というのは、意外と少ないのが実状です。

これに対して、YNSAの場合、運動系疾患などの基本治療に使われる「基本点」となる独自のツボは、頭部に存在するAからHの9カ所のみ。

これ以外にも、感覚点・内臓点・脳点・脳神経点などといったツボがありますが、これらを含めても、YNSAで使われるツボ数はたったの40。一般的な鍼治療のツボ数と比べると、約9分の1という少なさです。

これだけ数を絞ったツボ数だからこそ、YNSAを施術する鍼師にとっては「覚えやすい、分かりやすい」という状態になるわけです。このツボ数の少なさも、YNSAの治療効果の均一化をもたらしている、大きな理由のひとつであると言えるでしょう。

YNSAは海外で大人気

地球儀と鍼

鍼治療というと中国、そして日本で行われている治療法として認識されておりますが、このYNSA(山元式新頭鍼療法)は、実は日本国内よりもブラジルやドイツ、エジプトやオーストラリアなど、海外においてのほうが、はるかに評価・人気が高いのです。

そんなYNSAの海外人気の実情についてお話ししましょう。

■ ブラジルでの人気は特に圧倒的!

現在、YNSAの評価・人気が、世界の中でももっとも高い国として挙げられるのが、ブラジルです。

なぜ、ブラジルでYNSAが大人気なのかというと・・・それは「YNSAは、国が太鼓判を押した治療法だから」です。

ブラジルの元大統領が初当選した際に、選挙運動でおこなった握手や手を振るという行為により、腕が上がらなくなるという症状に見舞われました。

手術が必要なほどに、元大統領の腕は悪い状態だったのですが、腕が不調だからと言って、当選後すぐに入院・手術をするというのは実務的に厳しいだけでなく、大きなイメージダウン低下も招くということで、元大統領としては、「入院・手術なしで何とかしたい」という強い希望があったのです。

そこで白羽の矢が立ったのが、YNSAの施術をおこなっていたブラジル人医師でした。そして、そのブラジル人医師は元大統領の期待にしっかりと応え、なんと「YNSAのみ、手術なし」で腕を治すことに成功したのです。

この結果に大いに満足した元大統領の後ろ盾によって、YNSAはブラジルにおいて医療保険適用の治療法となり、さらに国の援助によって、貧しい人に無償でYNSA治療をほどこすための山元クリニックがサンパウロに建設されました。

そして、YNSAは、ブラジルの国の財政にも大きなメリットをもたらしました。なんと、YNSAの保険適用によって、医療費が従来よりも約12%も削減できるようになったのです。こうした経緯があり、今もブラジルは、国を挙げてYNSAの普及を後押しする、という状態になっています。

■ 他にもこんな国で人気が!

というわけで、ブラジルではYNSAがきわめて高い評価・人気を得ていますが、YNSAの人気が高い国は、ブラジル以外にもまだまだあります。

ブラジルに次ぐ「YNSA大人気の国」として挙げられるのはドイツ。

なぜドイツでYNSAが大人気なのかというと、ドイツは歴史的に鍼治療にも理解が深い国であった、というだけでなく、「YNSAを確立させた山元氏が、ドイツに留学経験があり、ドイツ語が話せて、さらにそれなりの人脈を持っていた」ということで、非常にスムーズに受け入れられる下地ができていた、というのが大きいですね。

ドイツの医師としても、言葉の壁がない分学びやすく、しかも実践してみると効果が高い!ということでYNSAを大いに賞賛し、研究の度合いが深まり学会が作られ、さらに保険診療の対象にもなった、という形で一気に大人気となったのです。

また、ドイツだけでなく他のヨーロッパ諸国やアメリカも、西洋医学だけでなく、薬に頼らない自然療法も大切に考える」という風土があるため、YNSAはこれらの国でも広く受け入れられています。

他にも、エジプトやオーストラリアでも、講演や指導の要請・YNSA研究会の設立があるなど、YNSAはさまざまな国で、今もどんどん人気と注目度を高めつつあります。

世界全体で見ると、YNSAが把握しているだけでも、YNSAを実践している医師の数は1万人をゆうに超えるほどです。

なぜ、日本ではYNSAの施術をしてくれるところが少ないのか?

地球儀と鍼

YNSA(山元式新頭鍼療法)は、世界で1万人以上の医師が実践している、新しく画期的な鍼治療です。

このYNSAは、ブラジルやドイツでは保険診療の対象となるほどに普及しているのですが、そんなYNSAを確立したのはブラジル人やドイツ人ではなく、日本人の山元敏勝氏。

つまり、YNSA発祥の地は日本なのです・・・が、日本では、YNSAの施術をしてくれるところは、「近所には見当たらず、ネットで探さなければ見つからない」というくらい、きわめて少ないのが現状ですよね。

なぜ、YNSA発祥の地であるはずの日本で、普及が進んでいないのでしょうか?その理由をお答えします。

■ 鍼師のカリキュラムをまずクリアしなければいけない!

鍼治療人体図

YNSA発祥の地・日本で、YNSAの普及が進んでいない最大の理由として挙げられるのが、「現在の鍼師の国家資格を取得するためのカリキュラムに、YNSAは含まれていない」というものです。

日本で、患者に鍼をうっていいのは、鍼師の資格保有者や医師など、ごく限定された有資格者のみですので、YNSAをやろうとすれば、鍼師や医師の資格取得が必須条件となってくるのです。

ちなみに鍼師の国家資格試験を受けるためには、文部科学大臣認定の学校または厚生労働大臣認定の養成施設において、最低でも3年の修学が必要となりますし、ましてや医師の国家資格試験となると、受験条件はさらに厳しくなり、合格率もかなり低いという状況。

つまり、YNSAを実践するために不可欠な「患者に鍼をうってもいい資格」を得るだけでも、かなり大変だということです。

そして、YNSA治療をおこなうためには、鍼師や医師の知識・技術にプラスして、さらにYNSAの独自の技術を覚えなければいけません。

要は、「資格取得にさんざん苦労する上に、さらに自分の意思でプラスアルファの知識・技術をつけなければいけないという現実に直面する」というわけですね。「資格も取ったし、ここからさらにYNSAの技術も身につけよう!」という気が起こりにくくなってしまうのは、無理もないことなのかもしれません。

■ 日本の保守的な気質も影響

YNSAが日本でなかなか普及しないもうひとつの理由としては、医学界において、「西洋医学以外の分野で、何か新しい治療法が出ても、それについて国が本腰を入れてバックアップしてくれるようなケースはまず出ない」というのが挙げられます。

鍼治療そのものについては、世界保健機関(WHO)が「さまざまな病気・不調に鍼灸治療が適応している」という趣旨の文言を出しているため、日本でもそれなりに認められているのですが、YNSAはそんな鍼治療の中でも、現状ではまだまだ歴史が浅すぎて「異端扱い」という感じになってしまうわけですね。

ブラジルやドイツのように、「実際に効果があった!」ということが認められればすぐに普及をバックアップしてくれる、という流れになれば理想的だったのですが、日本人特有の保守的な気質が、YNSAの普及の可能性を狭めてしまっている、という感じなのです。

非常にもったいない

日本には「YNSAを確立させた日本人の先生本人から、日本語できちんとYNSAを直接習った医師が居る」という何よりも大きなメリットがあるのに、そのメリットを生かし切れず今も普及率が低い、というのは、非常にもったいないことですよね。

YNSAはどんな症状に特に有効か?

一般的な鍼治療については、世界保健機関(WHO)が「運動器系・消化器系・呼吸器・循環器系・代謝内分泌系・婦人科・小児科・眼科・耳鼻咽喉科などの疾患に対して治療効果がある」という趣旨の発表をしていますが、YNSA(山元式新頭鍼療法)は、そんな鍼治療の適応症状の中でも、「特に得意とする分野」を持っています。

YNSAが特に有効な症状とは、どんなものでしょうか?

脳卒中の後遺症の改善が得意!

鍼治療人体図

YNSAの得意分野としてまず挙げられるのが、「脳梗塞・脳内出血などといった脳卒中による脳神経ダメージからの回復」です。

たとえば脳卒中によって言語障害・手や足のマヒが起こってしまうと、「リハビリをかなり頑張っても、かなりの後遺症が残ってしまう」というケースが少なくありません。ましてや、脳卒中が起こって長い時間が経ってしまったあとでは、回復はほとんど見込めない状態となってしまう、というのが、医学界の常識となっています。

しかし、YNSAなら、こうした脳卒中の後遺症の改善に大きな期待が持てるのです。

たとえば、YNSAを確立させた山元敏勝氏が発表したところによると、「脳卒中の片マヒ後遺症」のYNSAでの改善度は、脳卒中発症30日以内の人であれば、「大きく改善:55%+やや改善:31%=86%の人が改善」という、素晴らしい好成績を挙げているのです。

さらに、発症6ヵ月以内でも「大きく改善:43%+やや改善:38%=81%の人が改善」、そして発症1年以上でも、「大きく改善:14%+やや改善:58%=72%の人が改善」という高い改善度をマークしています。

脳卒中発症後1年以上たってからの治療でも、7割以上の人が改善を実感できる治療法というのは、他にはめったに見つからないレベルの好成績と言えるでしょう。

なぜ脳卒中の後遺症に対する治療効果が高いのか

なぜ、これほどまでに脳卒中の後遺症に対する治療効果が高いのかというと・・・YNSAの「頭に鍼をうち、脳(脳神経)そのものに刺激を与える」という方法こそが、その大きな理由と考えられます。

現在の医学では、脳卒中で手足が動かなくなったら、手足を動かすリハビリを中心におこなうのが一般的。しかし、それで劇的な改善ができる人はごくごくわずか。思ったほどの効果は得られなかった、という人がほとんどです。

それもそのはず、この方法では、手足の筋肉は一時的にほぐせるものの、脳には「手足が動いているよ」という指令は伝わりません。

実は、こうしたマヒの状態というのは、手足自体がダメなのではなく「脳から、手足を動かすための神経伝達が途切れてしまったから動かない」ということ。手足をリハビリで動かしても、伝達が途切れているので届かないのです。

そうした伝達の道筋を作り、伸ばしていくのは「脳」からなのであって手足からではないのです。

つまり、脳をしっかり刺激して活性化させ、脳からまた新たな神経伝達の道を手や足まで作ることができれば、元々機能的に問題のない手足は、また動かせるようになる可能性がある、というわけです。

だからこそ、脳を直接刺激するYNSAにとって、この治療は得意分野となるのです。

痛みの緩和

YNSAの得意分野としてもうひとつ「痛みの緩和」というのが挙げられます。

どんな痛みの緩和に役立つのかというと、頭部にある9カ所の「基本点」だけで、頭部・頸椎(首)・肩・上半身・腰・下半身の痛みに対応できます。

ちなみに、山元氏の発表によると、9つの基本点のうちの5つ、A〜Eを刺激しての疼痛(とうつう:痛みのことを指す言葉)の改善度は、「大きく改善:77%+やや改善:15%=92%の人が改善」という、とても素晴らしい結果を出しています。

つらい痛みが、YNSAによる鍼刺激だけで、9割以上の人が改善できているというわけです。肩こりや腰痛・筋肉痛などの痛みだけでなく、繊維筋痛症やリウマチなどの難病の痛みに対しても効果が期待できるなど、非常に幅広い痛みに対応できますので、とても頼もしい治療法です。

癌性疼痛(がんせいとうつう)の緩和にも

こうした、YNSAによる痛み改善への大きな効果は、ガン患者に対しても大きな恩恵をもたらします。

どういうことかというと・・・がん細胞が神経や組織を損傷することによって起こる「癌性疼痛(がんせいとうつう)」の緩和にも、YNSAは大いに役立つからです。

がんそのものの症状を治せるわけではありませんが、そこから来る痛みを大幅に抑えることで、患者の苦痛や不快感をやわらげ、精神的な安定に大いに貢献してくれるのです。

これまでは「通常の鎮痛系の貼り薬や飲み薬でも抑えられない癌性疼痛には、麻薬パッチや麻薬系の飲み薬・モルヒネなどを使うしかない」という状況だったのですが、当然のことながらこうした麻薬系の薬は副作用も重大ですし、そもそも、その前の段階で使われる鎮痛剤でさえ「本来なら連続使用するべきではない、それなりに高い副作用リスクがある存在」と言えます。

その点、YNSAなら痛みをかなりのレベルで抑えられるだけでなく、副作用の心配もない、という大きな強みがあるわけです。

アトピーなどの、アレルギー症状の緩和など

脳卒中の後遺症改善や痛みの緩和以外の、YNSAによって大きな改善が期待できる症状としては、意外かもしれませんが「アトピーなどの、アレルギー症状の緩和」が挙げられます。

「YNSAで頭に鍼をうってもらったら、アトピー症状が楽になった」などという声が多いのです。

その理由として考えられる、興味深い事例があります。

2015年8月に、愛知県岡崎市の生理学研究所・中川慧研究員などによる研究グループが「脳に微弱な電流を流して刺激を与えるとかゆみが抑制された、これは将来的に、アトピー性皮膚炎に対する効果的な手段として役立つ可能性がある」という趣旨の発表をしたのです。

つまり「アレルギーによるかゆみの発症は、脳でコントロールできる」という理屈が考えられるのです。YNSAも、脳を刺激するタイプの鍼治療だからこそ、実際に症状改善を感じる人の声が多いのでしょう。

耳鳴り

また、「耳鳴り」の発症にも脳神経の問題が関わっている可能性が高いと言われていますが、これも脳・脳神経をしっかり刺激できて、さらに耳に直接かかわる「耳点」も持つYNSAなら、改善できる可能性があります。

YNSAの実際の治療はどんなもの?

実際にYNSA(山元式新頭鍼療法)の治療を受ける際、どんな流れがあって、どんな治療を受けるのでしょうか?

ここではそれについてご説明します!

■ カウンセリング・触診

ynsa鍼治療イメージ

YNSAは、いきなり鍼をうつのではなく、まずは「どんな症状がどこに出ているか」などといったことを聞き取るカウンセリングや、実際に触ってみて異常や痛みの度合い・筋肉反応などを調べる触診をおこないます。

触診では、まずは指の腹などで広い範囲を確認し、これでおおよその治療場所の見当がついたら、さらに指のつま先で確認する、という形で、ピンポイントで刺激箇所を狭い範囲に限定していきます。

これは、「YNSAのツボの大きさは、そのほとんどがせいぜい数ミリ程度の大きさしかない」というのが大きな理由となっています。しっかりピンポイントで見つけないと、「数ミリずれただけで、ツボからずれてしまい、意味のない鍼うちになってしまう」というわけですね。

■ YNSAの鍼治療の流れ

YNSA治療で使う鍼は、基本的には「太さ0.2〜0.25mm程度の、使い捨てタイプの鍼」となるケースが多いです。ちなみにこれは、予防接種などで使われる注射の針の太さ(0.4〜0.6mm)の、約半分〜3分の1程度となっており、かなり細いと言えます。

触診で見つけたツボの位置を見失わないよう、片方の親指の爪などをツボを示すために置き、そして、もう片方の手で、ツボより5mm〜1cmほど手前から、斜めの角度から鍼をうち、ツボにしっかりと鍼を貫通させます。

ツボが貫通した時には、患者が「通常の鍼治療よりもさらに、ズンとくる感触があった」と感じるケースが多いですよ。痛みを感じる人も居ますが、チクチクピリピリとした痛さではなく、重く響くような痛み、という感じです。

そして、うった鍼はすぐ抜くのではなく、じっくりとそのツボに鍼の刺激を与えるため、鍼をうったままの状態でしばらく待つ、いわゆる「置き鍼状態」にするケースが多いです。

置き鍼状態にする時間としては、おおむね30分程度が目安。ただ、この置き鍼の時間は長ければ長いほどより効果が高まることが期待できるので、可能であれば1時間ほどに延長することもあります。

逆に、はじめてのYNSA治療の際、鍼をうつことにあまり慣れていない人に対して、置き鍼は30分より短い時間にするケースもあります。

鍼がどうしてもダメな人に対するYNSA治療

YNSAに使われる鍼は細く、注射のような強いチクッとした痛みを感じることはまずありませんが、「鍼をうつこと自体にとてつもない恐怖を感じる」という人に対しては、ツボに当ててそこから磁気の刺激を与えられる「磁気鍼」や、レーザーをツボに当てるレーザー治療などが施されるケースもあります。

ただし、どちらの方法も、やはり直接鍼をうつよりも効果が低いので、YNSA本来の治療効果が満足に得られない、という状態になりやすいのがデメリットです。

ですから、鍼が怖いという人も、「太くて痛い注射針とは違う」ということを理解して、一度だけでも鍼を実際に試してみることをおすすめします。 「痛そう、怖い」という気持ちも、一度やってみれば「なんだ、痛みなんてこんなものか、いや、むしろ気持ちいい」と思えるようになる可能性大です。

あなたにもできる!YNSAの理論を利用した全身の不調予防

日本では、海外と比べるとYNSA(山元式新頭鍼療法)はあまり普及していないため、「YNSAを受けたいものの、その施術をしてくれるところが近くに見つからない」という状態になるのもよくあることです。

そんなあなたに知っておいてほしいのが、YNSAの理論を利用した「自分でもできる、全身の不調予防の方法」です。

■ セルフケアをやる前の下準備

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では、さっそくセルフケアをやってみましょう、と言いたいところなのですが、ここでひとつ、絶対にやっておいてほしい下準備があります。

まず、両手親指の爪が伸びていないかどうかチェックして下さい。もし、「爪先で皮膚をぐっと押すと、爪のあとがクッキリ残る程度に、爪が伸びてしまっている」という人は、すぐに爪を切り、しっかりと指先を洗うこと!

なぜ爪が伸びているとダメなのかというと、YNSAのツボ刺激は、通常のツボ刺激のように「指の腹で押す刺激」では刺激不足で効果が期待できないからです。だからこそ爪先でぐっと押すことになるのですが、それで爪のあとがクッキリついてしまうようでは、皮膚へのダメージが大きすぎるのです。

さらに、爪の間にはどうしても汚れが溜まりやすくなりますから、「爪が刺さって傷ついた皮膚に汚れによる雑菌が入る」というリスクさえ生まれてしまいますので、爪を切った後の汚れ落としも不可欠なのです。

YNSAのツボ刺激の効果をそれなりに得て、皮膚へのダメージを最小限にするために「爪を切って、さらに清潔な手にしておく」という下準備は、必ずやっておきましょう!

爪を切るのがどうしても嫌、という人は、市販のツボ押し棒(先端がとがっておらず、丸みがあるもの)を2本用意してください。

■ やってみよう!YNSA理論を応用したセルフケア

では、YNSA理論を応用した不調予防のセルフケアをやっていきましょう。

  1. 鼻筋の真ん中を中心線と考えて、「眉頭から約1cmほど上、かつ、中心線から左右にそれぞれ1cm上」の部分を、両手親指の爪先または、ツボ押し棒などでぐっと押して下さい。
  2. 「中心線からそれぞれ左右に1センチ」という、左右の距離は変えないままで、1cmきざみで上に移動しながら、ぐっぐっと押し刺激を加えていきます。
  3. 前髪の生え際の部分に移動したら、そこからは5mm刻みぐらいの細かい感覚で、頭頂部分まで押し刺激を加えていきましょう。

押し刺激をする際に息を吐きながら、1日3往復の刺激をすれば、それだけでセルフケアはOKです。

■ セルフケアが効く理由と、注意点

さて、「顔の中心腺から1cm左右の位置を、眉頭の上から頭頂部の高さまで1日3往復刺激する」ということが、なぜ全身不調の予防ケアにつながるのかというと・・・

実はこのラインには、YNSAのツボが数多く並んでいるのです。

まず、眉頭の上から前髪の生え際にかけての部分には、頸椎や肩・肩甲骨などに効くE点、さらに目・鼻・口に作用する各感覚点、頭部・頸椎・肩に作用するA点といったツボが、ほぼ1cmきざみで存在します。

そして、前髪の生え際から頭頂部にかけての部分には、A点の上に、びっしりと「十二内臓点」が縦に並んでいるのです。

十二内臓点が作用する内臓は、下から、腎臓・膀胱・心包・心臓・胃・三焦・小腸・膵臓&脾臓・肺・肝臓・胆のう・大腸となっています。

ちなみに心包および三焦については、聞き覚えのない臓器だと思いますが、それもそのはず、この2つは、伝統的な中国医学で伝わる「一般的な五臓六腑とは別の臓器で、実体がない概念的な存在」という位置づけです。あえて言うなら「人が生きるために心臓を動かす力が心包、体温を上げて保つ力が三焦」というところでしょうか。

しかし、そうした「よく分からない存在」を除いても、この十二内臓点があらゆる臓器をカバーしてくれている、ということは分かりますよね。簡単な刺激で、これらすべてのケアができるというのはありがたいことです。

ただし、言うまでもありませんが、こうしたセルフケアは簡易的なものであり、なおかつ「実際に鍼をうつよりも、効果はどうしても低くなる」という弱点を持っています。

つまり「やらないよりはずっといいけれど、本職の施術にはとうてい及ばない」ということですね。ですから過度な期待はせず、気軽な気持ちでやるのが一番ですよ。